「abroadband」完全従量制(基本料なし)でポストペイのデータSIMを使ってみた

海外ではすっかりプリペイドSIMのお世話になることが多いこの頃だが、このSIMは気になったので購入してみた。

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オーストリアのA1 Telekom Austria 社が提供するもので、SIM/MicroSIMともに19.9ユーロで販売。WIFiルーターやスティックタイプのモデム機器とセットのものもあり、WiFiルーターZTE製MF60と思われるものが実質80ユーロで入手できるので、リーズナブルであると思う。

世界60カ国以上同一料金の従量制(0.59ユーロ/MB、執筆時点のレートで約70円/MB)でデータ通信が利用でき、年に1回でも使えば基本料は不要(利用しなかった場合はスタンバイフィー10ユーロ/年がかかる)。利用開始時には料金を支払うためのクレジットカードかPayPal口座を登録し、利用後に料金が請求される。

利用可能国は、欧州北米のほぼ全域、印・中・露・豪州とアジア(主に東アジア)の一部など。日本を含むアジア(特に西アジア)、アフリカ、南米では使えない国が多いが、日本人の渡航先としては、かなりカバーされているのではないかと思う。

APNなど、機器の設定に必要な情報はパッケージ内部に記載されているので、その通りに設定して問題なく開通。説明書も英語とドイツ語の冊子が入っていた。


このSIMのいいところは、プリペイドのように残額を気にしなくてよいことと、有効期限を気にしなくてよいこと。このため、プリペイドの残額がなくなった時や有効期限が切れてしまっていた、という時に、心強い”保険”になってくれる。

ただ、こうした利便性の裏返しとして、単位MBあたりの料金は高め。試しに、フランスに1日だけ滞在した時に使ってみたところ、そこそこ使って約45ユーロ(現時点で5500円ほど)の請求がきた。データ量に換算して80MBほどという結果だった。

日本の携帯各社が提供している海外でのデータ通信定額料金は各社とも1980円〜2980円/日となっているので、為替レートにもよるけれど、だいたい25MB程度までの利用なら1980円を下回って、海外データ定額を使うよりも確実に安くなる。また、日本の携帯各社の日額計算は日本の深夜0時を起算点とするので、日本時間にして数時間で深夜を迎えるようなタイミングで利用するといった場合は、aboroadbandを利用する方がお得になることが多いのだろう。

現地のSIMカードを購入/利用できるようになるまでの”つなぎ”や、短時間のトランジット、現地プリペイドSIMが何らかの事情で使えない、といった時に重宝するので、持っておくと安心な1枚。

なお、私は欧州の友人を経由して購入したが、配送先は欧州内に限られるようだ。また、サービス対象国でないとアクティベート(初期登録)ができない点は注意が必要。このSIMにはPINコード(暗証番号)が設定されているので、SIMのパッケージに記載されているPINコードは忘れないことも大切。さらに、利用することがなくなった場合は解約手続きをしないとスタンバイフィーがかかり続けることになるので、その点も注意が必要。

それにしても、こうした商品が生まれてくることをみていると、毎度のことながらSIMというのはヨーロッパ人の行動や発想に根付いたものなんだなぁ、と思わされる。