電池切れの心配がなくなる日

iPhoneに限らず、今の携帯端末は多機能な分だけ消費電力が多い。私の場合、iPhoneの電池は、朝フル充電で出かけて夜の帰宅までなんとか持つくらいなので、毎日の充電が欠かせない。念のため、ACアダプターとケーブルは常に鞄に入れて持ち歩いている。

そういう心配がなくなる日は、確実に来る。すでにモバイルに適したサイズの燃料電池は開発されていて、実用化もそう遠い先の話ではないはずだ。

今年の2月のモバイルワールドコングレスでは、東芝がモバイル向けの燃料電池のデモを行っていた。


以前は端末にケーブルでつなぐ外付け燃料電池だったけれど、今年のものは端末内蔵型で、電池切れ=燃料切れになったら燃料のメタノールをライターに燃料を補充するような要領で注入すればよいだけの簡単なものになっていた(下の写真)。電池が切れたらさっと燃料を補充すれば、数分も経たないうちにフル充電というか、満タンの状態になる。


一定の条件を満たした場合、飛行機内の持ち込みも許可されるような手続きが始められているとも聞くので、そうなれば出張や旅行の時にも電池切れの心配がなくなる。

燃料の成分や燃料カートリッジ等の標準化が果たされれば、補充の燃料を手軽にコンビニやキオスクなどで手に入れることが出来るようにもなると思うし、そうなるためにも、規格の統一が図られることを望みたい。かつて、電話のモジュラージャックが各国まちまちで苦労したことを思うと、LANケーブルコネクターの形状がRJ45で統一されて非常に利便性が増したように、燃料電池も、どこに行っても同じものが手軽に安価に買えるようになることは、ユーザーとしての悲願とも言える。

iPhoneをはじめとするモバイル機器の電池のもちの悪さが”使えない”と批判される原因のひとつになっているけれど、燃料電池内蔵型の端末が普及すれば、そのような批判は当たらなくなる。また、電池のもちを気にしなくてよくなれば、現時点でモバイル機器の開発および使用を考える上で大きなネックとなっていたものを考慮しなくてよくなる。これは、大きな変化だ。

今後はそういう将来が待っている前提で、開発サイドは端末のあり方を考えていくべき時に、そろそろさしかかっていると思う。

また、使いっぱなしでよくなれば、ユーザーの携帯端末・モバイル端末の使い方も変わって、ネットワークの負荷が増大する使用スタイルも出てくることは想像に難くない。つまり、単に端末側の電池だけの問題ではなく、ネットワーク(オペレーター)側にも少なからず影響する問題であり、そのくらいモバイル燃料電池の実用化は、大きなエポックになる出来事だと思う。