NOKIA製テレビ

もう5,6年も前に泊まったフランスの片田舎のホテルで、部屋にあった古びたテレビがNOKIA製でびっくりしたことがある。思わず写真に撮ってしまった(画質が悪くボケているけれど)。

NOKIAは今では携帯の専業メーカーだけれど、その前には家電を作っていた時期があり、そもそもの創業時は製紙会社だったという。

http://www.nokia.com/A4303001

世界の中でも日本でも、これほど創業時と現在で産業分野がかけ離れている会社も数少ないだろう。

何がNOKIAをそうさせたのか。いろいろな要因は考えられるけれど、いずれにせよ先を見る力と、変化を恐れないことに長けた社風なのだろうな、という気がする。NOKIAの展示会への出展を見ていると、昨年あたりまでは単なる携帯端末製造メーカーという見え方だったし見せ方だったのが、今年の展示会ではがらっと変って携帯を使ってのサービス提供を展示の中心に打ち出すなど、また次に向けて舵を切り始めたのかも、という印象だった。

もちろん、このNOKIAの取り組みがうまく行くかどうかは分らないが、歴史的に見ても変化の激しいこの時代、まさに「変ることを恐れるな」ではなく「変らぬことを恐れよ」なのだと思うし、NOKIA社のDNAには、そういうマインドが組み込まれているのだろう。「変わることを恐れる」というような意識にいたっては、NOKIAには無縁のものかもしれない。長い歴史をもちながらも、そのように変革を厭わない企業体質を維持するというのは、大変なことだと感じる。

日本の携帯電話メーカーに、あとたったひとつだけ必要なのは、このNOKIA的なイノベーションのマインドなのではないか。それは小さいが、実に深い「穴」なのだ、おそらく。