PCの行方と、ケータイとTVと。

PCの役割は、今後かなりの部分がTVと携帯電話にとって代わられる...。これは、今年1月にアメリカの家電系展示会CESを見に行って感じたことだった。

「TVとPCとケータイ」の関係は、「大画面・中画面・小画面」の関係とも言い換えられるだろう。

ケータイでワンセグを見るようになったり、TVでYouTubeなどのWebコンテンツが見られるようになったり、という流れは、それぞれ別々に進化してきたこの3つのカテゴリの製品が、(大きさはともかくとして)画面に映し出されたものを見るデバイス(ビューアー)として共通の部分を持ち始めた、ということを表している。

この傾向が進むと、少なくても何かを”見る”という受動的な行為に関しては、TV・PC・ケータイの中から、その時に最も適したデバイスを選択する、ということが当たり前になってくる。例えば既に、TVで番組を見ている途中で外出しなければならなくなったら、ケータイのワンセグで続きをみながら移動する、といったことも可能になっている。

つまり、PCとTVと携帯電話の関係は、ユーザーが相互に連携させて使うようになってくる。ユーザーがそれを求めるだろうし、そうなれば、それぞれの機器の作り自体も連携させることを前提として作られるようになってくる。

見るモノとしては、さまざまなものがあるだろうけれど、利便性とか制約条件などを考えると、結局はIPベースで流通するコンテンツがメインになってくるだろうし、それを支えるのが”クラウド”ということになるだろう。

では、これら3つの画面を押さえるのは誰になるのだろうか。ハードメーカーか、ソフト企業か?

Googleはまだ大画面=TVの世界には、有効な一歩を踏み出せているとは言えない。TVの世界は、3つの画面の中で、ひょっとするとGoogleがもっとも力を発揮しにくいかもしれない。

Yahoo!インテル以前のエントリに書いた通りTVの世界に踏み込む発表をしたばかりだ。

AppleのAppleTVもまだまだこれからだが、この先どんな手を打ってくるのか、興味深い。

では、純粋な(?)メーカーはどうだろうか。

PanasonicSONYSHARPなどは3つの画面のハードを(程度の差はあれ)押さえている。同様に押さえている外国勢はSAMSUNG、LGといったところ。

日本の携帯電話メーカーの逆転チャンスは、この3画面をいかにしてシームレスにつなぐことが出来るか、というところに一つの糸口があるような気がする。おそらく、ハードだけではダメで、ソフト面も含めてアプローチする必要があるのだろうとは思う。ただ、ソフト側に主導権を完全に奪われずに、どうやってハードメーカーとしてのポジションを確保していくのか、そこがポイントになるのでは...、という予感がする。

国境をなかなか超えられないキャリアとだけ組むのではなく、どれだけ国境に縛られない世界を構築できるか。そこがキーになるような気がしている。