Twitter、PhotoShareなどで災害対策

今朝関東地方で地震があって目がさめた。枕元に目覚まし代わりのiPhoneを置いていたので、地震直後のTwitterの状況をみていた。

Twitterはオープンなものであり、スクリーンショットをここに出しても構わないと思うので、地震から数分後の様子をあげておく。

iPhone/iPod touch用のTwinkleなど、GPS機能と連動しているTwitterクライアントから書き込むと、書き込んだおおまかな場所を自動的に表示してくれるので、”揺れた”と書き込んでいる人の位置で、どのあたりが揺れているか見当がつく。このスクリーンショットだと、東京、東村山市さいたま市が読み取れるが、そのほかにも青梅市千葉市などの位置からも揺れていると書き込まれていた。Twinkleの場合、書き込まれた位置の距離に応じて表示させるものを絞り込むこともできるので、自分のいるところからどのくらいまでの範囲で揺れているのかを、表示させる距離を切り替えて確認することも可能になる。*1

しばらくすると、震源地のニュースを書きこむ人が出てくるなど、Twitterをみているだけで、地震の大体の様子がつかめてきた。

こうした状況をみていると、日本で携帯の各キャリアが提供している「災害用伝言板」の機能をさらに拡張するかたちで、このTwitter、とくにモバイル機器から利用するTwitterが機能するのではないか、という気がする。相手を指定して安否確認をするという利用法はもちろん、被害状況などを均一にではないにせよ、細かくレポートし、把握するツールとして使えそうだ。

同様に、今のところGPSとの連動はないものの、写真を通じたコミュニケーションを可能にするiPhone/iPod touch用のPhotoShareも、写真を通じて被災状況を把握したり、災害復旧のための資料を得るという用途に使えるのではないかと思う。

災害用伝言板と大きく異なるのは、これらが災害時専用のツールでは”ない”ということだ。それだけに、専用ツールのような使い勝手を望めない側面もあるかもしれないが、ユーザーからすれば、なにより普段使って慣れているものだけに使用法を戸惑うこともないし、そもそも、災害専用のものと違ってその存在を知らないということが(普段使っているユーザーには)ないから、存在を知らせたり使い方を周知したりする必要がない。

もちろん、こうしたツールは、デマとか噂が広がる温床になる可能性はある。しかしWikipediaのように”数が集まって正しくなっていく”という発想に立つなら、キャリア等の公式な災害用伝言板を補助するツールとしても使えるかもしれないし、そういう使い方/使われ方を想定しておくことも有意義なのではないかと思う。

もちろん、ユーザー側にはネットの情報を見極める力(リテラシー)が高まっていくことも同時に必要だが、携帯のネットやラジオなどからメディアのニュースもその場でとれるので、照らし合わせながら利用するということも可能だから、仮にデマが書かれても、すぐにそれを訂正する人が出てくる、という流れになれば、かなり有効なのではないかと思う。大正時代に起きた関東大震災はもちろん、さらには阪神淡路大震災のときとも、被災時のメディア状況は大きく違うので、デマや噂が一方的に広まっていくということではないと思えるのだが、どうだろうか。

もちろんこれは、災害時に通信インフラが機能していて、Twitterがアクセス集中しても落ちない、ということが前提の話ではあるので、頼り切るわけにはいかない。しかし、固定網よりは被害に遭ってまったく不通になる可能性が少ない無線(携帯)網を活用し、被害を最小限にとどめるために役立てることは、あらかじめ想定しておくべきことなのではないかと思う。

思い起こしてみると、阪神淡路大震災がネットの有効性を実証するひとつのきっかけだったことを思い出す。たしか、奈良の大学が震災の生々しい写真をいち早くアップしたのが、国外で震災を認知するきっかけになった、ということだったように記憶している。起きてほしくはないが、次に大きな地震がきたときには、もっと有効に携帯電話のネット機能が活用されるのだろうなと思うし、そういう使い方・使われ方を頭のどこかに置いておくと、さらに有効に活用できるのだろうと思う。

それを思うと、キャリアの囲い込んだネットの世界ではなく、PCからも携帯からもアクセスできるTwitterPhotoShareの方が活用範囲が広いと思う。被災者はそれぞれモバイルから書き込むとして、それを見て対策を練るにはPCからアクセスする方が望ましい場合が出てくるだろうから。

余談ながら、今朝の地震後まっさきにTwitterを見たのは、先日の台風の時に、今どのあたりで雨が降っているかを大まかにTwinkleの書き込みで把握でき、どの傘(折りたたみかどうか)を持っていくか判断したり、あまり傘をささずにすむルートで移動したり、ということが出来たので、地震でもそんなことが起きているのかな、と思ったから。結果は、期待にたがわなかった。

身の回りの小さな出来事、それ単体ではごく小さな価値しかないことの、ほぼリアルタイムの集積が大きな価値を生む可能性を示していると思うし、そういう価値創造を可能にするインフラとして、今の日本の携帯電話ネットワークが機能しているということを感じた出来事だった。

*1:このスクリーンショットの場合は、上部中央に表示されているとおり、Within 1K km つまり1000 kmの範囲内の書き込みを表示させる状態になっている