ケータイ各社新製品発表にみる”スマートフォン”比率の上昇
5日のdocomoの発表で、国内ケータイキャリア主要3社の新製品発表が出そろった。
興味深いと思ったのは、いわゆる”スマートフォン”が一気にメイン機種群のポジションを得たように見えることである。
3社の発表した新機種の数字は以下の通りだ。(SP=スマートフォン)
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キャリア/全機種数/SPジャンル機種数/SP比率
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docomo / 22 / 5 / 23%
au/KDDI / 7 / 1 / 14%
SoftBank / 16 / 6 / 38%
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スマートフォンをどのように定義するか、ということでも違ってくるが、ここでは、採用OSによる定義よりも、和式ケータイと異なるユーザーエクスペリエンスを提供するものかどうかによって定義した方がよいと考えてカウントしてある。docomoについては「PROシリーズ」の機種数をスマートフォンと見なした。SoftBankについては独自OSを採用したOMNIA(SAMSUNG製)を含めた。ただ、同社の931SHとauについてはW64SHを入れるかどうか悩んだが、docomoのSH-04Aをカウントしたこととの均衡で、これらも含めておくことにした。
表から一目瞭然であるとおり、auを除いた2社では、すでに新機種の約1/4〜1/3はスマートフォンジャンルである。これは、本ブログでかねて指摘している通り、スマートフォンが特別なカテゴリの製品ではなくなり、ゆくゆくはスマートフォンという呼び方すら消えていく兆候ではないか、と思っている。もちろん、この傾向が次の新製品発表においても続いていくかどうかを見極める必要はあるけれど、この”スマートフォン比率”は予想以上のものだった。
また、docomoが従来の90x、70xという品番体系を廃止したことが、スマートフォンジャンルの成長を促進する結果になるのではないか、という気がしている。これまでの90x、70xという品番体系は、ユーザーからみれば、どれが最新かつ最上位の機種であるかということが分かりやすかった。しかし、新しい品番体系と4つのジャンル分けは、ユーザーからすると非常に複雑なもので、90x、70xの体系ほどユーザーになじみのあるものとはなりにくい。
そうなると分かりやすいのは、PROシリーズが最上位機種、という捉え方ではないだろうか。見かけも、従来の和式ケータイの主流である折りたたみではなく、大型液晶が全面にあるストレートタイプというイメージ(イメージであって、すべての機種がそうだということではない)。品番も、ドコモの品番体系に従うものもあるけれど、NOKIAのE71やBlackBerry Boldのように、docomo品番がついていないもの。それが90xにかわる最上位機種のイメージになっていくのではないだろうか。
実は、SoftBankもスマートフォン4機種については、SoftBank独自品番も付しているが、先にNOKIAといった社名やOMNIAといったメーカ固有の商品名を出している。つまり、キャリアを問わずに”キャリア品番で呼ばれない機種が上位機種”、というユーザー認識が、今後定着する可能性がある、ということだ。
ところで、これらの”新たな上位機種”は海外メーカーだらけであるということに改めて気がつく。悩みながらもカウントしたシャープ製の各社1機種づつをのぞけば、すべてが海外メーカー製なのだ。つまり、もし上位機種の概念が上に書いた通りになってくるなら、それは、”上位機種は海外メーカー製”というユーザー認識が生まれるかもしれない、ということでもあるのだ。
以前から本ブログで指摘してきた、”iPhoneという1機種が売れるかどうかが問題ではなくiPhoneの出現で携帯端末市場がどう変わるかが問題なのだ”、ということについて、思ったよりも早く変化が出始めた気がする。
あとは、この変化を日本のユーザーがどう受け止めるか、手っ取り早くいえば、これらの”スマートフォン”がどれだけ売れるか、見極めていきたい。