iPhone市場が広がっておきること

iPhoneのロシアと中国での”正規品”販売にむけて条件が整いつつあり、一方アメリカでは中古のiPhoneも人気ということで、さらにiPhoneユーザーの数が増えていきそうです。

まずロシアでは、国内2位のキャリアVimpelComに続き、3位のキャリアMegaFonがアップルとiPhone販売で合意したそうです。
MegaFon Signs Deal to Sell Apple's iPhone 3G

ただ、この記事によると、すでに闇で40万台のiPhoneがロシアに入っているということで、アナリストによると、

"We believe most consumers who wanted iPhones already have them,"

とのこと。どれだけ売れるかは、非正規のiPhoneよりもどれだけ割安感がだせるかにかかっている、という分析です。正規品はキャリアの料金プランとセットで販売されることになるのでしょうから、見かけの本体価格が安くても、トータルでの支払いを考えると約1000ドルするという闇iPhoneの方が割安、ということになれば、正規品の販売は苦労しそうです。

また、中国でも、China MobileとAppleの交渉が進んでおり、年内に合意する可能性もある、とのこと。

http://news.cnet.com/8301-13579_3-10030565-37.html

こちらもロシアと同じく闇iPhoneが大量に流通しており、

There are plenty of iPhones in China, but they didn't come in through the front door. Somewhere around 800,000 jail-broken and unlocked iPhones are thought to be in use in China, which has led to China Mobile's reluctance to swallow Apple's old revenue-sharing iPhone model

ということで、非正規のiPhoneが中国に沢山(80万台!)入っていることを材料にAppleとの交渉を有利に進めようとしているということで、まことに中国らしい状況ですね。

アメリカではiPhone3G発売で手放された初代iPhoneの中古が人気で、新品の値段を上回るケースも出ているようです。
Bloomberg - Are you a robot?

米国内ほか、南米などにも流れているとか。iPhone3Gにくらべて簡単にjail-brokenなiPhoneにできるので、キャリアに縛られずに使えるようにできることも人気の理由だそうです。

こうしてiPhoneユーザーの数が増えるということは、iPhoneユーザーを対象にしたビジネスのマーケットが拡大していく、ということ。

アナリストが予測するように、来年末までに4000万台以上という販売が達成されると、ユーザー数の合計は日本の携帯電話契約者数の半分弱になります。

iPhoneユーザーは平均的な携帯電話ユーザーよりも携帯電話関係にお金をかける傾向にあるだろうと推測されるので(そうでなければiPhoneを買わないでしょう)、iPhoneユーザーを対象にしたビジネスのマーケットは、金額ベースではここ数年のうちに日本の携帯電話ユーザーを対象にしたマーケットの規模を超えるのかもしれません。

そうなると、iPhoneユーザー向けにApp Storeで販売するアプリを開発するのと、日本の市場むけにアプリを開発するのとどちらがビジネスとして将来性があるか、という判断を、近いうちに日本のソフトベンダーはしなければならなくなるような気がします。

同じようなことは、Windows mobileAndroidケータイ向けのアプリにも起きてくるでしょう。

そこでiPhoneWindows mobileAndroidの市場を選ぶ、という判断になると、今度は”和式ケータイ”向けのアプリの質と量が落ちていくことにつながると考えられます。

そうなったら、iPhoneAndroidではなく、普通のケータイ電話を使いたいユーザーにとって、世界的なシェアを持つNOKIASAMSUNG、LGなどのケータイの方がアプリなどが充実している、という状況が生まれるかもしれません。

iPhoneAndroidを使うユーザーが、全ケータイユーザーのなかに占める割合は少数派であり続けるだろうと思いますが、数の問題ではなくマーケット(市場規模)からみた時にも少数派でありつづけるかどうかは、注意しておく必要があります。