米でWiMAXサービス開始、iPhone3G以上の体験が出来る?

今月下旬、アメリカでWiMAXの商用サービスが始まる。アメリカのキャリア・スプリントが提供する「XOHM」(ゾーム、と読むようだ)というサービスで、まずボルチモア市からスタートし、その後シカゴやワシントンDCを始め、全米の都市に広めていく予定とのこと。

ワシントンポストが書いている、ユーザーエクスペリエンスのイメージはこうだ。
Sprint Adds Location-based Apps to WiMax in Baltimore - Post I.T. - A Technology Blog From The Washington Post - (washingtonpost.com)

Imagine walking down a Baltimore street and by using your WiMax-enabled Sprint phone, you are told a mile down on the left, you can get find your favorite Five Guys burger. But you may need to go down a different street to get there because roads are blocked by police because of an accident, according to your phone. While you are in the area, stick around for a couple hours because at 7 p.m. Kanye West will be playing at an outdoor concert by the harbor.

かいつまんで訳すと、WiMAX対応ケータイが、自分のお気に入りのバーガーショップへの道案内をしてくれるだけではなく、道の途中で事故があると迂回ルートを教えてくれたり、その日に近場で開催されるイベントの予定も知らせてくれる、ということらしい。

WiMAXのイメージとして、XOHMのトップぺージに書かれている"Imagine a hotspot the size of a city."という言葉が、うまく言い表しているかもしれない。

XOHMの場合、携帯電話だけでなくノートPCに対してもサービスを提供するということなので、携帯電話以外のデバイスにとっては、まさに"a hotspot the size of a city."となるのだろう。

気になるのは、携帯電話ユーザーにとって、特に日本のように3Gが当たり前になった地域で、WiMAXがどのくらい魅力的なサービスになるか、だ。

GPSの機能を使ってXOHM対応デバイスの位置を割り出すことで、記事に書かれたようなサービスを提供するということだが、果たして、すでに3Gネットワーク対応+GPSの機能を持っている携帯電話、代表的にはiPhoneで経験できる以上に魅力的なサービス、ユーザーエクスペリエンスを生み出せるのだろうか。

日本でも、来年にはUQコミュニケーションズなどがサービスを始めるが、アメリカよりもはるかに3Gのカバー率が高い日本で、3GのサービスとWiMAXのサービスの関係を、どのようにユーザーに提示していけるのだろうか。

今のところ、GPS機能(+3G)を使った日本のケータイのサービスは、まだまだ地図+ナビゲーションの域を出ていないように思う。自分の興味や関心にあわせて、その場所でのお薦めのイベントや、好みに合ったレストランの紹介などと連動しているものは、まだまだではないか。iPhoneのappでも30min.などが始まったばかり。3GかWiMAXかという以前に、提供されているサービスがまだ未発達ということが言えると思う。

XOHMでは、Eventful*1などiPhoneにすでにサービスを提供しているプロバイダも参入するようなので、果たしてWiMAX向けと3G向け、どちらが魅力的なサービスになっていくか、どうWiMAXならではのメリットを作り出すか、注目していきたい。

また、ケータイ電話よりもiPhoneよりも大きなNOKIAのN810(Wimaxバージョン)といったデバイスが、どのように使われ、受け入れられていくのかも興味がある。これくらいの大きさなら、以前のエントリに書いた電子ブックリーダーとしての利用にも、よりふさわしいかもしれない。

WiMAXの普及スピードと比べて、3G(3.5G)の次の規格である3.9G(LTE)の導入と普及が早ければ、両者は競合する可能性もある。一方で、コグニティブの技術によって、両者はネットワークの負荷を軽減し合う共存関係になるのか、とも思う。

アメリカでの状況がそのまま日本に当てはまるわけではないと思うけれど、様々な視点で、XOHMの動向は気になるところだ。

*1:Eventfulは、英語ながら東京でも使える。