ケータイの機種は少ない方がよいのかもしれない、顧客としては。

iPhoneファームウェアがアップデートされた。2.0.2から2.1へのメジャーアップデートということもあり、実感できるだけでもかなり改善されたと思う。詳細なレポートは既にたくさんのブログなどで報告があるのでここでは特に触れない。

こうしたアップデートがされるのは、当初の2.0.xがひどすぎたから、という意見もあり、それも一理あると思う。ただ、過去のiPod touchのアップデートでは、不具合の修正というよりも、メモ帳やメールなどの機能が使えるようになるなどの機能強化がされたことを思うと、iPhoneにおいても、そういったバグフィックス以上の意味をもったアップデートは、今後も期待できるのではないだろうか。

ひるがえって、これまで私たちが慣れ親しんできた”和式ケータイ”では、よほど大きな問題が起こらない限りアップデートされないままであり、バグフィックス以上の意味をもった端末を進化させるアップデートがあったかというと、ちょっと思い当たらない。これは、ほぼ半年ごとに新機種が出て、それを販売しなければならないことを考えれば当然なこと。現端末の機能が向上すれば、その分次の新機種が売れなくなるのだから、あえて新機種の首を絞めるようなことをするわけがなく、それはそれで製造販売サイドからすれば経済合理的な選択ということだろう。

それに、開発現場からすれば、和式ケータイの既存機種の前向きなアップデートなど、やりたくても手が回らないというのが実態ではないか、と推測される。1機種の開発期間は、半年サイクルで新機種が出るのであれば(開発チームが1つしかないと仮定すると)半年しかない。このブログエントリで書かれている内容について、どこまで一般的か信憑性があるか、という反論・疑問はあるだろうが、

前機種と半年後に発売される機種が大して変わらないのは当たり前だ。
開発期間は半年、検証が有るから実際は3ヶ月。

というあたりの記述を読むと、たしかにあまり内容的に変わらない新機種が発売されるケースが多いことは店頭の端末やカタログを見ればうなづける話で、具体的な細かい数字はともかく、少なくても開発現場に余裕がなさそうだ、ということは信じるに足ると思われる。

メーカー単位で考えても、機種数が多く常に新製品が出続けるが、その分バグフィックス以上のファームウェア更新はされない”和式ケータイ”。一方で、機種数はメモリの容量と色の違いだけでベースは1機種のみ、しかも今のところ1年に1回の新機種発売だが、ちゃんと旧機種にも通用する形でアップデートされるiPhone

これは、どちらがいい悪いというよりも、ビジネスの組み立て方が違うというべきなのだと思う。

ただ、顧客サイドからすれば、和式ケータイも販売奨励金廃止で事実上2年間同じ端末を使い続けるしかなくなったわけだから、不具合だけは修正されるものの新しい機能を期待することはできない端末が、どれだけ受け入れられ続けるのだろうか。

短い販売サイクルで新製品が出る、つまり機種数が増えるということは、当たり前のことながら、少ない機種数で長く売るより1機種あたりの費用もかさみ、結局顧客が支払う端末代金も高くなるということ。

そのうえアップデートといったアフターケアもおろそかになるのだとしたら、加えて前の機種と大して中身が変わらないのだとしたら、顧客の目から見れば、ひとつの機種をアップデートなどでメンテナンスしながら、大事に長く売ってくれる端末の方がよい、ということにならないだろうか。

販売奨励金廃止からまだ日が浅いので顕在化していないが、こうしたiPhoneの動向を見ているユーザーが、和式ケータイでも同じような製品サイクルとアフターケアを望むようになる日が来る可能性は少なくなさそうだ。