iPhoneの購買層・使われ方が変わり始めた米国、日本でも中古市場が顕在化?

アメリカで行われた調査によると、この夏(6−8月)、収入が平均を下回る世帯が、iPhoneを購入した層の増加率でトップだったそうだ。

http://wiredvision.jp/news/200810/2008103121.html
Low-income Users Latch on to IPhone | PCWorld

もちろん、この所得層のiPhoneユーザー全体での比率は今は15%を占めるにすぎないということだが、今後大きく伸びていく可能性があり、

sending an early signal that smartphones are changing from a luxury to a necessity

Low-income Users Latch on to IPhone | PCWorld

ということで、”スマートフォン”が贅沢品ではなく必需品となる兆候が出てきているということだ。

2代目となるiPhone3Gに発売に伴って、中古の初代iPhoneが市場に出回り、それが高値を呼んだという記事も以前に見かけている。必ずしも新品のスマートフォンを買わなくても、中古のスマートフォンを購入し、通信契約だけを新規に電話会社と結んだり、あるいは自宅内で使えればよいと割り切るなら、自宅内で無線LANを使えるネット環境があれば月々の通信料支払いも増えない、ということになる。

PCの使用目的がメールとネットの検索程度であるなら、ネットブックとともにiPhoneAndroid/G1などのスマートフォンが選択肢として挙るようになる可能性については、以前のエントリーにも書いたが、アメリカでは実際にそのようになる兆候が出てきているということである。まして、経済の失速が当面続きそうなアメリカでは、なおさらこの傾向が加速する可能性があることも、別なエントリ−で指摘したとおりだ。

これまで携帯電話端末に関して、日本ではあまり顕在化してこなかったが、iPhoneをはじめとするスマートフォンの普及が、日本でも中古市場の形成を促す可能性もある。iPhoneなどのスマートフォンはソフトウェアのアップデートをすることによって、端末の機能自体をある程度の期間最新の状況に保つことができる点で従来の携帯電話端末とは異なっており、発売から一定期間内であれば、中古として流通させるだけの値段がつく可能性もあるのではないだろうか。

iPhoneのアプリ・Fringで実現しているように、無線LANの環境があればSkypeなどで無料ないし割安なVoIPでの通話が可能なのもこの種のスマートフォンの特徴である。公衆無線LANのサービスが、日本では月額数百円程度から利用可能であることを考えると、特に都市部などでは、中古のスマートフォン+公衆無線LANという組み合わせでも、かなりのサービスを利用可能になってくる。この事実に高齢者や主婦といった価格に敏感な層が気づき、スマートフォンの使い勝手もこなれた機種が出てくれば、3年から10年程度のスパンでみると、こうした使い方をするユーザーも増えてくる可能性がある。

また、一般的な家庭で使うPCの役割は、徐々にネット対応のテレビと携帯電話にとって代わられるものと思われるが*1、その”携帯電話”にネットビューアー・メール端末としてiPhoneなどのスマートフォンが入り込んでくることは日本でも十分に起こりうるだろう。和式ケータイのPCブラウザとiPhoneSafariの両方を使ったことがある人なら、どちらが使いやすいかは体感としてご存知であると思う。携帯電話の置き換えとしてとらえるiPhoneと、PCの置き換えとしてでは、評価も異なってくるのではないだろうか。

そうなれば、日本では所得階層の違いというよりも、最先端のものを求める層が最新のスマートフォンを購入し、そういう人が使っていた中古機種が市場に放出され、それをネットブックや従来の携帯電話の代わりとして主婦層や高齢者層、一部の若年層(学生など)が買って使う、といったことが起きてくるのかもしれない。

まだまだ日本ではスマートフォン自体が社会的な認知をようやく獲得し始めた段階であり、そういう兆候を感じることはないが、変化の早い分野だけに、あっという間に状況は変わっていくかもしれない。