スマートフォンが加速するのは、webブラウジングか?

アメリカのCNETに、「Smartphones drive demand for Web browsing(スマートフォンが加速させるウェブブラウジング)」という記事が出ている。

http://news.cnet.com/8301-1035_3-10096614-94.html?tag=newsEditorsPicksArea.0

PCライクなwebブラウザーがいわゆる”スマートフォン”にどんどん搭載されるようになりつつあり、iPhoneが先鞭をつけ、GoogleAndroid/G1が続き、そして、RIMのBlackBerrtyでも全面タッチスクリーンのStormや、Bold*1には、こうしたブラウザーが搭載されているということだ。また、WindowsMobile機等のブラウザソフトウェアも、PCと同じようなブラウジングが出来るものが開発されつつある。

こうした流れに応じて、サイト側も、高性能なモバイルブラウザーから見られることを意識したサイト作りを求められるようになってくるだろう、というのが記事の趣旨である。

記事中で2つ気になることがあった。

ひとつは、この記事では、ネットの利用はブラウザーを介して、ということが前提で書かれているのだが、果たして、モバイルからのネット利用が、ブラウザーを通したものが主流であり続けるのだろうか、ということである。

iPhoneのことを考えても、たとえばもともと用意されている株価や天気もそうだし、TwitterFacebook、乗り換え案内の駅探など、多くのweb上のサービスはブラウザーを介しても使えるが、専用のアプリ(App)を通して使ったほうが便利で使いやすい場合が多い。自分が頻繁に深く利用するサービスほど、ブラウザーを経由せず専用アプリを使って利用することが多くなっていくのではないだろうか、と思うのだがどうだろう。

もちろん、たくさんのサービスそれぞれにアプリを備えておくことは非現実的なので、いわば”汎用アプリ”として高性能なwebブラウザーのニーズがなくなるということはないだろうと思う。ただ、ブラウザーのブックマークバーに入れておくような使用頻度の高いサービスについては、モバイルからの利用は専用のアプリを使って、というケースは増えてくるのではないか。

考えてみると、ネットへの入り口としてのブラウザーがこの10年あまり中心的に存在してきたけれど、ブラウザーを通して接するだけがネットではない。よく考えてみると、我々が求めているもの・見たいものは、ネットにある情報そのものであって、ブラウザーを見たいのではないのだ。求める情報をより良い形で提供してくれるのであれば、ブラウザーよりも専用のアプリを通して見た方が使い勝手は格段に上がる。

日本のキャリアもwidgetウィジェット)を導入しようとし始めているが、これは上記の”専用アプリ”とか”App”と同じ流れにあるものと考えられる。その意味では、日本のモバイルにおいても、ブラウザー一辺倒から、ブラウザーウィジェット群へ、というネットへのインターフェースの移行は確実に起きてくるのだと思う。

たまたま、Googleも音声による検索をiPhone向けに提供し始めるとのことだが、このサービスもブラウザーではなく専用のアプリを介して提供されるということで、独自ブラウザーChromeを開発したばかりのGoogleでさえ、ブラウザーにはこだわっていないのだ、という見方も出来るだろう。
グーグル、音声で検索可能な「iPhone」アプリをまもなく発表へ - CNET Japan


もうひとつ、日本のモバイルの状況と照らし合わせて気になったのは、以下の段落である。

As wireless subscribers get more sophisticated about their Web surfing, they are looking for more freedom. They don't want the carrier-controlled, on-deck mobile Web experience available on earlier mobile phones. Instead, these users are looking to replicate the Web experience they have on their PC on their phones.

この文章が日本にも当てはまるのなら、各キャリアが導入し始める”スマートフォン”が普及するにつれて、ユーザーが、これまでのケータイサイトやケータイブラウザーでは満足しなくなってくる、ということになる。

一方で、日本でのiPhone発売開始に際して”今の日本のケータイブラウザ・サイトで十分、むしろその方が便利だ”といった反応が見られたことも事実だ。

これが変わっていくのか、それとも”the carrier-controlled, on-deck mobile Web experience ”を良しとするユーザーが主流でありつづけるのか。そもそも、いわゆる”スマートフォン”がどの程度売れるのか、ということも含めて、ここ半年〜1年の日本の端末販売の動向と、ユーザーの行動の変化は注目に値する。それによって、たとえばサイト制作者サイドなら、この先どのようなサイトを作っていくべきなのかが変わってくることになるからである。

*1:日本でも、docomoが来年の2-3月頃に発売予定