東海道新幹線の無線LANサービス詳細発表

いよいよ、09年3月のダイヤ改正時から東海道新幹線の車内無線LANサービスを開始、というJR東海のリリースが出された。

http://jr-central.co.jp/news/release/nws000230.html

独自の料金設定をするのではなく、既存のWiFiサービスのいずれかを通して利用することができるようになっていることは評価したい。すでに既存のサービスに加入していれば面倒な手続きなしで接続ができるし、さらに定額のサービスに加入していれば改めて料金を払う必要もないので、乗客の利便性に配慮したサービス設定であると思う。以前のエントリーに書いた通り、トンネル内でも途切れずに使えることも大きなメリットだ。

N700系での運転列車に限られるが、座席へのコンセント設置も含めて、ビジネスユーザーにはありがたいサービスになる。競合する飛行機が、この点でどのような対応をとってくるのか、興味深い。東京大阪間であれば、正味の飛行時間が1時間を切っているため、機内でWiFiを使えるとしても短時間だろうが、今後新幹線のWiFiサービスが山陽新幹線などにも広がってくると、アメリカン航空が始めたような携帯の基地局を使った機内LANサービスを導入、ということになるのだろうか*1。すでに空港内、特にラウンジでの無線LANサービスは標準的なものとなっているので、今後機内でのサービスをどのようにしていくのか、注目される。

最近のエントリーでも書いたとおり、タクシーやバスの中でもWiFiを使えるようにする実験サービスが始まっており、一般にはあまり意識されていないうちに、WiFiのサービスエリアが広まってきているし、実はWiFiで使える機器も増えている。

JR東海が、車内LANサービスをどのくらいアピールするかにもよると思うが、新幹線の無線LANサービスが、ビジネスユーザーの無線LAN認知度を高めるのだとすれば、その数はかなりのものになるし、そこからじわじわと、ビジネスだけでなくプライベートでも、新幹線だけでなくほかの場所でも、と利用が広がってくることに、拍車がかかりそうだ。

そうなると、携帯端末でも無線LAN搭載のものへのニーズが高まってくるだろう。PCなみのブラウザを搭載している、というのが昨今の和式ケータイのウリだったりもするが、それを3Gでしか使えないのと、WiFiでも使えるのとでは、意味合いが全く違ってくるはずだ。

また無線LANと併用する携帯の料金プランがユーザーを引きつけるポイントになってくる可能性もある。東海道新幹線BBモバイルポイントも利用可能ということは、iPhoneユーザーなら無料で、しかもオートログインということになるのだろう。このような手間のなさと料金メリットが出てくると、単に端末の魅力だけではなく、キャリアが提供する料金やサービスの魅力も大きな選択ポイントになってくるだろう。たとえばiPhoneBlackBerryでどちらにするか迷っているユーザーなら、この無線LANのサービスが決め手となってiPhoneを選ぶ、ということだって出てくるはずである。

また、2月からWiMAXサービスを開始するUQが、新幹線内でのWIFiもサービスするということだが、こちらもどのような料金プランを出してくるのか興味深い。また利用するための端末が、幾らくらいでどのような形で提供されるかも注目される。

09年は、こうした交通機関のサービス展開次第では、携帯電話業界の動向を左右する要素として無線LANを無視できない年になるかもしれない。

*1:飛行経路によっては洋上のルートも多いため、北米大陸のようなわけにはいかないかもしれない。