Android Dev Phone1 を試用する(3) iPhoneとの比較(1)

前2回に書いた日本とアメリカでの試用の結果をふまえて、個人的な経験の範囲ながら、iPhone3G(以下、単にiPhoneと書く)とくらべてどうかという視点でAndroid Dev Phone1(ADP1)を評価してみたい。*1


●手のなじみ具合

ADP1は、厚みはiPhoneよりもあるものの幅は若干スリムなので、手に持ったときのなじみということでいうと、私にはどちらも甲乙つけがたい気がした。すくなくても、なじみの悪い形状ではない。もちろん、これは感じ方に個人差のあるところだろう。

ただ、ADP1の場合、横に持ってキーボードを使う場合、液晶部分だけが開いて、右手側のボタン類がある部分は液晶を閉じたときの厚みのままなので、右手でキーを打つ時に、この厚みを邪魔に感じることがあった。一方で、この厚みのある部分は本体全体をホールドするためのグリップに好都合でもあるので、一概に悪い面ばかりとも言えない。

現状では、ADP1にはソフトキーボードがないので、文字入力には必ず液晶を開いてハードのキーボードを露出させる必要がある分だけ、iPhoneよりもちょっと煩わしいというか、手間がかかるようには感じた。


●カメラの性能、使い勝手

ADP1の方がiPhoneのカメラよりも画素数は高いが、撮れた写真の絵作りという点でいうと、iPhoneの方が優れているように思う。特に暗いところでも明るく写せるという点でiPhoneの方が画素数は低いながらもADP1のカメラで撮るよりも絵としてまとまった写真が撮れるという印象だ。

暗い屋外で同一の条件で撮った写真を、加工をせずにあげておく。


ADP1で撮影



iPhoneで撮影


シャッターボタンは、ADP1では横長に構えたときに本体右上の位置に物理的なボタンがあり、一般的なカメラと同じ使い勝手となっている。iPhoneのソフトボタンとどちらがいいかは判断が分かれるところだろう。ADP1のボタンなら、手袋などをしていてもシャッターを切れるメリットがある一方、iPhoneのボタンは、押さえた指を横にスライドするだけでシャッターを切ることができるので、シャッターを押すことによるブレが起きにくいというメリットがある。上の作例でも、筆者の腕が良くないということもあるが、ADP1で撮影したものは手ぶれが起きてしまっている。

カメラ関係のアプリケーションの充実度はiPhone向けのApp storeに一日の長があり、それもiPhoneのカメラの画素数の低さをあまり気にしないで済む理由になっているように思う。これについては、今後有料アプリも含めてAndroid Marketがどの程度充実してくるかにかかっている。ただ、iPhoneと違ってAndroidは様々なスペックのハードが今後出てくることが予想され、そうなると、千差万別の端末に、異なる性能・特性をもったカメラが搭載されるということになる。そのときに、汎用のカメラアプリケーションがどのように成り立つのか、あるいは個別の端末のカメラ毎にことなるアプリが必要となるのか、端末のバリエーションが限られるiPhoneとの比較で、どちらがユーザーにとって好ましいものとなるのか、注目していきたい。


●コピー&ペースト

iPhoneになくてADP1にあるものの筆頭機能が、このコピーペーストの機能だろう。ただしADP1でも、コピーが可能なのは文字入力領域にあるテキストに限られており、たとえばこのブログの本文をwebページからコピーする、といったことは出来ない。とはいえ、コピーペーストが可能であることは、やはり便利である。メニューなど日本語に非対応なADP1で、simejiなどのソフトを使って日本語が入力できるのも、このコピーペーストの機能がサポートされているからだ。トラックポイントボタンを長押しすることで簡単にペーストできるので、日本語化されたAndroidが出てきても、その利便性は変わらない。iPhoneがソフトウェアのアップデートによってコピーペーストに対応しないうちは、この機能はAndroid機のiPhoneに対する有力なアドバンテージのひとつだろう。


●ボタン

iPhoneの物理的なボタンが4つ*2しかないのと比べて、ADP1にはキーボードのキーを除いても8つのハードウェアボタンがある*3

ADP1のメニューボタンは、たとえばブラウザを利用する場合にPCの使い勝手と異なるので、慣れるまではちょっと違和感があるが、なれると、この8つのボタンで(文字入力以外の)ほとんどの操作が可能だ。特にトラックポイントボタンを使った操作は、思いのほか便利だ。カメラの項でも指摘したとおり、冬など手袋をしたまま操作できることもiPhoneにはない便利さだし、また「戻る」ボタンで一つ前の操作に戻ることができるのは、使用するアプリケーションを問わずに統一されているので、これも便利なところ。

ただ、使い込むうちには、こうした物理的な可動部分が故障しやすい部分となってくるだろうから、その点は便利さとトレードオフの関係になる。

また、電源のオンオフやスリープなどの際に、ADP1のボタンの反応がちょっと過敏で、意図しない操作結果になってしまうことが多々あったのは、気になるところだった。


まだ比較の視点は多数あるので、続きは稿を改めて書きたい。

*1:重量や大きさといったスペックなど、すでに客観的データとして公表されているものの比較については他に譲り、主に使用感などたぶんに主観的な比較なので、あくまで筆者の個人的な経験と感想であることをお断りしておく。

*2:電源/スリープ、消音、音量、ホームの各ボタン

*3:液晶の脇にあるメニュー、通話、ホーム、トラックポイント、戻る、電源、の6ボタンと、本体脇にあるシャッター、音量の2つ